microCMS vs Sanity:実際に使って比較してみた
はじめに
最近、ブログサイト構築のためにヘッドレスCMSを選定する機会がありました。
候補として挙がったのが、日本製のmicroCMSと海外で人気のSanityです。どちらも現代的なヘッドレスCMSとして注目されていますが、実際に両方を使ってブログサイトを構築してみて、その違いを体感することにしました。
今回は、実際に両方のサービスでNext.jsブログを構築した過程と、開発体験の違いについて書いていきます。
microCMSとSanityの基本情報
microCMS
microCMSは日本製のヘッドレスCMSサービスです。主な特徴は以下の通りです:
- 日本語での管理画面・サポート
- REST API提供
- 直感的なコンテンツ管理UI
- 定額制の料金体系
Sanity
Sanityはノルウェー発のヘッドレスCMSで、海外では非常に人気があります:
- GraphQL・GROQ クエリ言語
- リアルタイム編集機能
- 柔軟なスキーマ設計
- 従量課金制
実際の開発体験比較
セットアップ・初期設定
microCMSは非常にシンプルでした。アカウント作成後、管理画面からコンテンツタイプを設定し、APIキーを取得するだけで準備完了。日本語のドキュメントが充実しており、迷うことがありませんでした。
Sanityは少し複雑でした。Sanity Studioのセットアップが必要で、スキーマ定義をコードで書く必要があります。柔軟性は高いですが、学習コストは確実にmicroCMSより高いと感じました。
API統合・開発体験
microCMS:
- REST APIで分かりやすい
- TypeScript型定義が自動生成できる
- Management APIでプログラムからの投稿も簡単
- エラーメッセージが日本語で理解しやすい
Sanity:
- GROQクエリが強力だが習得が必要
- リアルタイム更新機能が優秀
- 複雑なデータ関係も柔軟に表現可能
- Portable Textによる高度なリッチテキスト
管理画面・編集体験
microCMSの管理画面は直感的で、技術に詳しくない人でもすぐに使えそうです。特に日本語UI・日本時間表示など、日本のユーザーには嬉しい配慮が随所にあります。
SanityのStudioは非常に高機能ですが、カスタマイズ前提の設計になっています。プレビュー機能やリアルタイム編集は素晴らしいですが、初期状態では少し使いにくさを感じました。
パフォーマンス・運用面の比較
レスポンス・パフォーマンス
どちらも高速ですが、細かな違いがありました:
microCMS:
- 日本のCDNで高速
- API制限が明確で予測しやすい
- 画像最適化機能が標準搭載
Sanity:
- グローバルCDNで安定
- 画像変換APIが強力
- 大量データでも高速クエリ
コスト・料金体系
これは大きな違いでした:
microCMSは定額制で、小〜中規模なら月額1,680円からと予測しやすい料金です。
Sanityは従量課金で、開発中は無料ですが、本格運用時の料金が読みにくい面があります。
結論:どちらを選ぶべきか
microCMSがおすすめの場合
- 日本語でのサポートが必要
- シンプルで分かりやすいAPIが欲しい
- 料金を予測しやすくしたい
- 技術者以外も管理画面を使う予定
Sanityがおすすめの場合
- 複雑なデータ構造・関係性がある
- リアルタイム編集機能を活用したい
- グローバル展開を考えている
- 高度なカスタマイズが必要
まとめ
実際に両方使ってみて分かったのは、どちらも優秀なヘッドレスCMSだということです。
microCMSは「日本のプロジェクトでの使いやすさ」に特化しており、Sanityは「グローバルでの柔軟性・高機能性」に優れています。
今回のブログプロジェクトでは、シンプルさとコスト予測のしやすさからmicroCMSを選択しましたが、より複雑な要件があればSanityも魅力的な選択肢だと感じました。
ヘッドレスCMS選定に悩んでいる方の参考になれば幸いです。実際に触ってみることで、プロジェクトに最適な選択ができると思います。